「RDGレッドデータガール」1,2,3,4 荻原規子。

読書メーターで人気だったので手を出してみました。アニメにもなるんですって。
1と2と3は2月から3月にかけて読み、4をようやっと読了、残る既刊はあと1冊、近々読む予定ですが、とりあえずここまでひとまとめで感想をば。
熊野古道の玉倉神社にすむ中学3年生の少女、泉水子は学校と家の往復だけで、都会に出たことは1度もなく育った。。。その少女の隠された秘密と、成長と活躍を描いた冒険ファンタジー…って感じのお話ですが。RDG…絶滅危惧種の少女、なんとも意味深。
3巻までは、とにかく話が、関係が、謎の真相が、なんでもかんでも全然進まなくてじっれたいのだ!小出し過ぎる。泉水子もずっとウジウジしっぱなしであまり成長も見られない。ま、それもこれも続けざまに3冊読んでしまったからと思われる。1冊ずつみれば、盛り上がりがあって終わるので「次が楽しみ!」となるのかもしれなかった。
4冊目もあまり話は進まないのだけれど(いよいよ学園祭か、と思いきや「準備」だけだったし)、とうとう泉水子の正体が明らかになって心躍りましたわ。泉水子も自分の定められた運命にくよくよするばかりでなく、受け入れて前向きになってきた様子で、なによりだぜ。これからの流れは恋愛ストーリー方向に行くんだろうか、で、次は楽しみですぅ。

「幽女の如き怨むもの」三津田信三。

幽女の如き怨むもの (ミステリー・リーグ)

幽女の如き怨むもの (ミステリー・リーグ)

戦前・戦中・戦後に渡りある遊郭で起きた三回の連続身投げ事件、その真相を推理する刀城言耶シリーズ。
花魁緋桜の手記、女将の告白、ある作家の遺作、と続き、最後の最後で満を持して刀城言耶が登場。派手などんでん返しはなかったけれど、中心人物である花魁緋桜についての真実にはショックをうけました。思い起こせばそこここに驚くほどたくさんの伏線がちりばめられてたわけで、きっちり説明がつくミステリーに仕上がっておりました。お見事です。シリーズ中では地味な作品かもしれないけれど、花魁の悲哀が切々と語られ情緒的で美しく大変良かったです。
それにしても、身を削り生きることを強いられる過酷な花魁の日々は、度々想像するだに苦しくてつらかった。特に一番初めの、何も知らずに売られてきた少女の日記の衝撃は大きく、読み応え充分。

uminokanata2012-09-19

ご無沙汰しておりました、皆様お元気でしょうか。
ずっと暑く乾いた日々でしたが、今日は小雨で日差しがなく、湿度温度ともに高いわりには過ごしやすくて、今までを思えば天国のようであります。ところによっては大荒れのようで心配です。
そろそろ秋でしょうか。猫も徐々に丸くなって寝るようになるなるのかしらん、今日はまだこんな感じですが。
秋といえば、毎年恒例の「やせなければ!」と発作的に思い立つ季節になりまして。どちら様にも、次回お会いするときには「見ちがえたね」と褒めていただけるよう本気で頑張りたいです。
ま、今まで一度もそこまで至った事はないんですがね。

「水の柩」道尾秀介。

水の柩

水の柩

2月に読んだ本。感想を書きそびれてたから、記憶を掘り出し書きます。
いじめにあっていて生きる意味を見出せなくなった少女を、普通に暮らす少年が必死に助けようとするお話。あと少年の祖母の過去、か。
昔みたいな伏線拾いまくって大どんでん返し〜ではありません。もうそういうのはやらないのか、今回も文学度の高い美しい繊細なお話でした。最後、タイトルのあらわすところの儀式を執り行って救いとするのだけれど、それで本当に救われるか、と疑問を持ってしまった私は、なんか物足りなく思ってしまったのでした。綺麗なんだけどね。
今振り返ると、祖母の告白のインパクトが大きかったかな〜生きていくために嘘をついたお婆様の気持ちが痛々しくって辛かった。
いじめのことは、昨今話題だから今読むとまた違う印象を持つのかもしれないけど、当時は「ありがちなこと」と感じてしまった。いじめ多すぎでマヒしてるのか。

「レディ・マドンナ」小路幸也。

レディ・マドンナ (7) (東京バンドワゴン)

レディ・マドンナ (7) (東京バンドワゴン)

東京バンドワゴンシリーズ第7弾。
前作から続けて読んでしまって勿体ない。今回も堀田家は大家族揃って朝食を食べていた。よかったよかった。
そしてまたもや色々なことがあって、万事解決。いつもどおり。その昔藍子に恋した男の子と、先代草平のお話。研人の家出と亜美さんのかっこいいパフォーマンス。すずみさんの同級生と盗まれた蔵書。正直こんな簡単解決するか?ってこともあるけれども、大じいちゃんとロックの神様がいる堀田家ならば、世の中の揉め事はたいてい問題なくなってしまうだろう安心感がよい。
最後のお話は、ちょいと前に読んだ「Q.O.L.」の後日談。光平が海外赴任することになり、龍哉の家で龍哉と二人きりになることを恐れたくるみが家を出る決心をするお話。くるみが将来癒され幸せに暮らせるようになるのはとてもじゃないけど無理とまで感じた前作だったけれど、堀田家にかかわれば不可能じゃないかも、と考え直せたから素敵だっ。「Q.O.L.」を読んでいてよかった。

「鍵のない夢を見る」辻村深月。

鍵のない夢を見る

鍵のない夢を見る

直木賞受賞作。辻村深月さんおめでとう。
ごく普通の女性が主人公の短編が5つ。暗い、重い、という評判を耳にしてましたが、思うにどれも痛い話で、シニカルだった。辻村さんの作品は優しすぎる人々が主人公の話が多かったけど、これは妙に生々しく大人な感じ。
誰がみても正しく幸せな人生でありたいと願ったための転落だったり、勘違いだったり、が滑稽で悲しい。なかには取り返しのつかない出来事もあって、その愚かさに言葉もありませんでした。「あくまでフィクション」と言い切れないリアルさ、女性心理をつくのが上手い。こんなことになるのは余程の阿呆、と思う一方で、わが身は絶対無関係と言い切れない怖さ。
大変面白く読めました。直木賞受賞、文句なしです。ああ、でも、男性に理解できるんでしょうかね?