「善人長屋」西條奈加。

善人長屋

善人長屋

世間から「善人長屋」と呼ばれてるけど、実は大家も店子もみんな小悪党。拠所ない事情で裏稼業に手を染めてしまった人々。そんな長屋に手違いで真っ当な善人である加助が加わった事から巻き起こる騒動の数々。


善人の加助が困ってる人を次々と長屋に連れて来て、小悪党の面々が迷惑しながらも人助けに手を貸す、という展開の連作短編集。小悪党でも悪党にかわりはなく、どんな事情があっても本来なら許せないことなのに、舞台が江戸っていうだけで「義理人情味溢れるいい話だなぁ」と許せてしまう不思議。しかしながら、長屋の面々には将来裏稼業から足を洗って堂々と生きていって欲しいものです。ってことで是非続編をお願いしたい。
最後の2話で、善人加助が善人にならざるを得なかった過去が明かされ、ホロっときた。お気楽なハッピーエンドでなかったことが印象的。