「僕は、そして僕たちはどう生きるか」梨木香歩。

僕は、そして僕たちはどう生きるか

僕は、そして僕たちはどう生きるか

これはすごかった。おそらく10代の子たちに読まれることを想定して書かれたのだろうけど、大人が読むべき。
14歳のコペル君と同級生のユージン、従姉のショウコたちが一緒に過ごしたある一日の出来事。野草を摘んでご飯を食べた、なんでもない一日のなかで交わした会話が、世界を一変させる衝撃的な出来事になった……というストーリー。
僕たちは、ずっと考え続けよう、という哲学。人間は一人では生きられないから群れるけど、大勢の中にあってなお疑問を持てる感性が大事、ということか。私自身大勢でいないと不安な人間で、そうあることに慣れきっていて必要な想像力が欠如していることは否めない。だからこそ心に留めていなければいけないと思った。

数々の問題提起は結論の出せないことも多々あったけれど、あからさまにわかるあの本の批判はあまりにもショッキングで、気になってぐぐったら、どうやら復刊されるっぽい?それはよいのか?
YA向けとうたわれる本がすべて(それがたとえきちんとした出版社であっても)青少年にとって有益とは限らない、ってこと、忘れちゃいけないな。

「キングを探せ」法月綸太郎。

キングを探せ

キングを探せ

四重交換殺人の謎を、安楽椅子探偵法月綸太郎が解く。
きちんとした申し分ない本格ミステリーだった。犯人はあの人とみせかけておいて騙すテクニックが上手いね。でも、最近の私はもっと人の情に訴えるような物語が好みなので、特に後半の事件は端折ってる感じがして今ひとつもの足りなかった。本格には必要のないものかもしれないけれど。

「田舎の紳士服店のモデルの妻」宮下奈都。

田舎の紳士服店のモデルの妻

田舎の紳士服店のモデルの妻

幼稚園児の長男と乳児の次男の育児に追われる日々を過ごしていた梨々子。ある日突然エリートサラリーマンの夫が自分は鬱病だと告白、会社を辞めて故郷に帰るという。いわれるまま夫の故郷に引っ越して暮らした10年間の日記。
なんてことない話なのに、なんかよかった。日々暮らす、生活するというのはこういうことなんだろうな〜と妙にリアルに感じられた。忍耐?
でも、幸せの形は色々あって、思っていたのとは違っていたけれどこれもまた幸せだ、と気づくのに10年かかったよ、というか。人の価値観はなかなか変わらないけど、10年あればそこそこ変わる、みたいな。

「放課後探偵団」アンソロジー。

話題の新人作家さんによる学園ミステリーのアンソロジー
これは面白かった!粒ぞろいのハズレなし。相沢沙呼さん狙いで、他の作家さんは初体験でしたが、さっそく既刊の作品を読みたくなりました。よい企画。
似鳥鶏さんはシリーズものらしく気になるので他作品を近々読むつもり。梓崎優さんはキューンと切ないお話で、この中でNo.1。


毎日寒い。ホント寒い。寒い時に寒いといっても仕方ないのはわかっているけど、寒いと言わずにいられないぐらい寒い。洗濯物が乾かないから困る。外に干したら凍って固まった。部屋に干すと結露が酷くなるし。やっぱり乾燥機か。節電しないといけないから暖房を強めるのも憚られる。でも猫がいるからついつい。猫は避妊手術後で腹の毛がないから心配なんだ。ま、猫は元気だけど。最近は朝夕にハンティングモードのスイッチが入って隠れたり走ったりで大騒ぎ。平和だ。こうして写真をしげしげ見ると、うちの猫は耳が大きいんじゃなかろうか。そういう種が混じってるのかな。寒いのはボチボチ収まってくるらしいから、それまで風邪ひかないように、ひかせないように用心しながら我慢我慢。