「ジャージの二人」長嶋有。

ジャージの二人長嶋有ジャージの二人」追加。表紙は大島弓子。文中にもちょっぴり登場しています。
この話、かったるいストーリーや会話、駄目な人にはとことん駄目でしょうね。私は好きだな。何とも言えぬ余韻が残ります。そんなユルイ展開の中で、きりっとした文が一つ。

分からないが、とにかく選択だった。選択してしまった。どうしようもなかった。日頃から人生は選択の連続のようにみえる。だけど本当には選択できる機会なんて、ごくわずかなのだ。大抵は、否応なく選ばされる。そのことだけはさすがに三十年近く生きて、もう知っている。

う〜ん、確かに。それはもう嫌になるほどその通りだ。若者は失望しないように。

書店のレヴュー

表題作は、妻に浮気をされた無職男と、2回離婚経験のあるカメラマンの父。二人が山奥のおんぼろ別荘で過ごす夏の日。他に、父の三人目の妻の子である花を加えた「ジャージの三人」を収録。◆ただ、別荘で過ごした日々を描いただけの話。なのに心惹かれるのは何故?主人公は妻に浮気された事をどう解釈すべきか決めかねている。許すのか、怒るのか。妻の方も新しい恋にあっけなく破れ、誤るでもなく離婚を切り出すわけでもなく。そうこうしているうちこの話は「パラレル」につながっているのか?でもゆるさはこちらの方が上。不自由な別荘暮らしが和みを与えてくれる。05/04/20
★★★