「鍵のない夢を見る」辻村深月。

鍵のない夢を見る

鍵のない夢を見る

直木賞受賞作。辻村深月さんおめでとう。
ごく普通の女性が主人公の短編が5つ。暗い、重い、という評判を耳にしてましたが、思うにどれも痛い話で、シニカルだった。辻村さんの作品は優しすぎる人々が主人公の話が多かったけど、これは妙に生々しく大人な感じ。
誰がみても正しく幸せな人生でありたいと願ったための転落だったり、勘違いだったり、が滑稽で悲しい。なかには取り返しのつかない出来事もあって、その愚かさに言葉もありませんでした。「あくまでフィクション」と言い切れないリアルさ、女性心理をつくのが上手い。こんなことになるのは余程の阿呆、と思う一方で、わが身は絶対無関係と言い切れない怖さ。
大変面白く読めました。直木賞受賞、文句なしです。ああ、でも、男性に理解できるんでしょうかね?