「幽女の如き怨むもの」三津田信三。

幽女の如き怨むもの (ミステリー・リーグ)

幽女の如き怨むもの (ミステリー・リーグ)

戦前・戦中・戦後に渡りある遊郭で起きた三回の連続身投げ事件、その真相を推理する刀城言耶シリーズ。
花魁緋桜の手記、女将の告白、ある作家の遺作、と続き、最後の最後で満を持して刀城言耶が登場。派手などんでん返しはなかったけれど、中心人物である花魁緋桜についての真実にはショックをうけました。思い起こせばそこここに驚くほどたくさんの伏線がちりばめられてたわけで、きっちり説明がつくミステリーに仕上がっておりました。お見事です。シリーズ中では地味な作品かもしれないけれど、花魁の悲哀が切々と語られ情緒的で美しく大変良かったです。
それにしても、身を削り生きることを強いられる過酷な花魁の日々は、度々想像するだに苦しくてつらかった。特に一番初めの、何も知らずに売られてきた少女の日記の衝撃は大きく、読み応え充分。