おろおろ草紙 (講談社文芸文庫)三浦哲郎おろおろ草紙」追加。この先日本で飢饉が起こることなど無いのかもしれない。もしも飢饉が起きたら、自分がどうなるのか想像もつかない。この話の中では、特に「女」が恐ろしいのだけれど、其の辺は生物学的にやはりそうなのか?蟷螂のように?

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表題作と他3作を収録。「おろおろ草紙」は天明3年の大飢饉の際、人口の半分以上が餓死したという南部藩の悲惨な状況を描いた史実にのっとった衝撃作。死人はもとより生きた人間までも殺して食べたという。人間の生きようとする業の凄まじさにただ驚くばかり。「晩闇の海」は明治2年幕府軍と官軍の争いに巻き込まれた漁師たちの顛末。「北の砦」は文化4年蝦夷地の守りのためかり出された津軽藩の農民たちが寒さに苦悩する様子を書いたもの。「海村異聞」は十年間行方知れずだった男が帰ってきて漁村にもたらした騒動。どれも北の地に生きる人々の暮らしが生き生きと描かれている。05/01/27 ★★★