ネタばれ注意。

天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫)村山由佳天使の卵」追加。歩太は19歳芸大志望浪人生、父は精神科病棟に10年間入院中、母が小料理屋を切り盛りして生活費と入院費を稼いでいる、という設定。電車の中で出会った美しい人は、父の新しい主治医で、しかも歩太の彼女のお姉さんであった、という進み方も物凄いよ。それで父は一時退院中に飛び降り自殺し、責任を感じたお姉さんと、あなたは悪くないという歩太は恋人関係になって、これから二人で幸せになろうねって時に、お姉さんは病院の治療ミスで死んでしまう・・・って、もう涙強制ドラマみたいな話でした。こうして書くと安っぽいけれど、かなりのめり込みましたわ。何ででしょ?ストーリーの割りにドロドロ感がなく、サッパリしてるから?ムムム。
お姉さんが歩太に「もっと自分勝手に生きていい」と、カウンセリング的にいうところがあるんだけれど、そこんところの会話が「ややっ!」と思った。
私も誰かにそういうこと言って欲しかったにゃ。

書店のレヴュー

電車の中で出会った美しい年上の人に惹かれていく19歳浪人生の歩太。◆年上の女性との恋というテーマの話は数限りなくあるが、これはなかなか秀作かと。出だしは爽やかで、家庭の事情と進学問題に悩む歩太を描き、8歳年上の精神科医春妃と出会い、二人の周囲にある全てが、二人の幸せを妨げるような展開。その流れが自然に無理なく、文章が上手いせいか全然呆れることがなかった。久々に良い恋愛小説を読ませて頂きました。続編「天使の梯子」に期待大。05/02/26★★★★