幸福な食卓瀬尾まいこ幸福な食卓」追加しました。(注意ネタばれ!)腑に落ちなかったのは、最後の方で主人公の恋人の大浦君が唐突に死んでしまうこと。交通事故。メチャ落ち込んだ主人公佐和子が何とか立ち直っていくところで話はおしまいになるのだが、そうしなければ話を終わらせられなかったわけでもあるまいし、と思ってしまう。そうでなくとも、佐和子は複雑な家庭事情を背負っているのだ。これ以上は必要ないでしょ。今までの瀬尾作品では、最後にドカンと大事件を持ってきたりはなかったはず。「徐々に回復」というパターンが心地よかったのに。今回はこうきた。参った。・・・まあ、トータルでは「良」ですが。

書店のレヴュー

「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」で始まるこの作品は、家族の小説だ。5年前に自殺未遂をした父、それが原因で別居中の母、秀才だったのに大学進学をせず農業を始めたいい加減な兄、そして中学2年の私。一見家庭崩壊のようだが、実は互いに思いやり深く、穏やかに暮らしているようでもある。その思いやりがあまりにも深いために家族の形がゆがんでしまっている、といえなくもない。主人公が受験を経て高校2年生までの4年間で緩やかに歪さが解消されていく。心が温まる4編。但し最後がどうにもこうにも納得できません。何故そんな試練が必要だったのか?正直安易過ぎる、と思いました。05/03/31 ★★★