むかしのはなし三浦しをん「むかしのはなし」。
このあいだの直木賞候補作。これは予約を入れていたわけではなく、棚にあったのが目に付いただけで、なんの前知識もなかったもんで、途中SFチックになって驚いたのでした。しをんちゃん、凄いよ。あのエッセイを書く人と同一人物とは思えん。
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高校の時、昼食パンメニューで「生食」(食パンに生クリームを挟んだもの)を頻繁に頼んでいたのを思い出した。あれは上手かった。今考えると、そうおいしいとは思えないんだな〜不思議と。

書店のレヴュー

浦島太郎やかぐや姫といった昔話を題材に、隕石の衝突で地球が滅亡する近未来を生きる人々が語る中・短編連作集。◆7つの作品に各々下敷きにされた昔話の概略が付いている。昔話というと教訓めいたニュアンスが含まれるものだけれど、この作品は詰まるところ「生き方」を語ることにあるのだと思った。話は途中から3ヵ月後の隕石の衝突を控えた社会が舞台となり、地球を脱出した者・脱出できない者の悲哀を交え、語り手の「生き方」が綴られていく。最後の桃太郎を題材にした「懐かしき川べりの町の物語せよ」は全てを集約したような凄みのあるお話。最初の「ラブレス」から連鎖した構成は見事。第133回直木賞候補作。05/08/31★★★