「厭世フレーバー」三羽省吾。

厭世フレーバー

厭世フレーバー

これ、とっても良かった。思いついたのは奥田英朗の「サウスバウンド」。家族は皆何となく父を許している。いいね、そういうのって。
家族5人のうち、最初が14歳・17歳と来るんで、口調とか無理があるように感じられたけど、もしかするとこれが年相応の思考であり表現なのかな〜っと。その後からズンズン読み進めた。家族同士にも秘密ってあるんだよね。それでもちゃんと家族ってやってけるんだよな〜。隠し事もある意味大事なのかもな。

書店のレヴュー

リストラされた父親が家出。残された家族は5人。それぞれの視点で、この事態について語られていく短編連作。◆家族とはいえ、違う人間なのだから考えてることは互いに完全にはわからないし、同じ出来事の受け止め方も違う。年の若い順にその思いの丈を追っていくうちに、いなくなった父親の人となりが明らかになっていき、読み始めのイメージが塗り替えられていった。それと同時に、14歳には14歳なりの、72歳には72歳なりの悩みがあり、折り合いを付けながら生きているのだ、ということがわかって、ホロッとさせられたり。構成の見事さは秀逸。結末は「家族っていいな」と言わされて爽やか。06/01/16★★★