恩田陸「蒲公英草紙」。

蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)

蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)

久々に泣けました。「『天聴会』の夜」のところで。画家の椎名さんや仏師の永慶さん、新太郎さん、脇役の方々もそれぞれ信念を持っていて、とっても魅力的でしたね。ただその後日本は軍国主義へと歩みだし、その時は正しいと思えたことも、後の世から見るとそうではなかったと気づいてしまう。最後の峰子の科白のように、この日本の歴史を常野の人々はどのように感じていたのでしょう。

書店のレヴュー

時は明治時代、東北の槙村という集落も新しい世紀の幕開けの波に飲まれつつあるとき、訪れた不思議な一家。◆「光の国―常野物語」の春田一家の祖先が登場するお話ですが、主役は槙村の地主の娘聡子と語り手である医者の娘峰子。聡子は体が弱いため殆ど家から出られない、友人は峰子一人。聡子と峰子が迎える「運命の日」に向かって話は進みます。◆一体自分は何が出来るのか・・・新しい時代と自分の指名の追求、この作品の多くの登場人物が自問自答している、答えは出たのでしょうか。◆春田一家は補助的な役割ですが、常野一族の持つ使命が村人たちの心に何かしら投げかけていく、悲しくもあり希望もあるお話となっております。06/03/23★★★★