有川浩「空の中」。

空の中

空の中

大変読みやすく、500ページ近い厚さにもかかわらずあっという間に読了。面白かった。
読んでいく途中で、未知の知的生物と人がどういうふうに対話していくのか、という構図が、知らない、あるいは理解できない人とどう関わっていくのか、とも置き換えられる気がして、そういう見方で読んでしまいました。戦争・紛争の絶えない世の中ですけど、この手の解決方法は、とても日本人的で、ということは日本が今出来ることがあるんじゃなかろうか。もっと小さな社会に置き換えてもいけるかな。4月だし。・・・穿ってるかな。
それから、フェイクを異常に可愛がる瞬を佳江が「間違っている」と早い段階で思ってしまう所。これはないかな。結果的に佳江の言った通りになってしまうわけだけれども、まだフェイク=白鯨とわからない時点で「埋め草」にしてはいけないと言うことはないのでは?これでは瞬に酷過ぎるし、瞬よりフェイクのほうが大事っぽく見えてしまいました。瞬に多くを望みすぎじゃない?
「宮じい」は言うまでもなく、いい老人。こういう長けた老人は今や貴重かも。老人がみんなこうではないから、こういう老人を目指したいものです。
あと光稀さんはseiitiさんの好みですか?(笑)

書店のレヴュー

第10回電撃ゲーム小説大賞受賞作家の第2作。200×年、二度の航空機事故の原因を解明する過程で人類が出会った謎の巨大生物【白鯨】。高度な知性を持つ彼と人類の共存関係を模索するストーリー。◆【白鯨】に対するアプローチが、航空技術者の高巳とF15パイロットの光稀を代表とする「大人」側と、高校生の瞬と佳江の「こども」側の2方向から描かれている。この2つの対照が面白いし、これらに絡まっていく諸外国の対応や反対勢力のあり様が、現代の胡散臭い社会をよく写している感じがして良かった。結末はハートウォーミングで○、この後【白鯨】が人に食い潰されませんように。06/03/26★★★★