西加奈子「きいろいゾウ」。

きいろいゾウ

きいろいゾウ

なんか、この書影だと黄土色っぽいけど、実際は、まっ黄色の表紙。
さてさて、感想はってーとー、単刀直入にいえば甘ったるい話なんだけど、ま、泣けちゃったぜ、と負け惜しみ。


泣けちゃったのは、不登校少年の大地君が、ムコさんとスタバで会話する場面。
「ムコさんには敵わない。」
おいおい、君たち、小学生に見抜かれてるよ。二人は大丈夫なのに、大地君にもわかっているのに、本人たちにはわからないなんて、しっかりしてくださいってね思いまして、大地君の健気さにウルウル。


最後の、ムコが過去と向き合う場面、ツマが幽霊さんと会話する場面が、なんだかしっくり来なかったし、ツマの夫に完全依存なところや不可解な行動(日記見たとか見ないとか、書斎に入ったのか入ってないのか云々)が私には理解不能で、ちょっとイマイチ?でも泣けたからな…。

書店のレヴュー

妻「妻利愛子」夫「武辜歩」で「ツマ」「ムコ」と呼び合う夫婦。ツマは動植物と会話し見えないものが見えてしまう体質、夫は新進小説家で老人施設でアルバイト中。話の前半は、都会から田舎へ移り住んだ若い夫婦のほのぼのスローライフをツマの語りパートとムコの日記パートで交互に描く。読者には、同じ出来事でも二人の見ていた・感じていたことが微妙にずれていることがわかる。そして後半は、ズレがどうしようもなく大きいものになり…◆これは夫婦の話だけど、恋人同士に置き換えてもいいかもしれない。どれほど愛し合っていても、拭いきれない不安はあって、それに押しつぶされそうになったとき。二人が迎えた結末は、前よりちょっと逞しくなったほのぼのスローライフかな。06/10/16★★★