いしいしんじ「雪屋のロッスさん」。

雪屋のロッスさん (ダ・ヴィンチブックス)

雪屋のロッスさん (ダ・ヴィンチブックス)

これは大変良い。
手元において、一日一つずつ読みたい。30の短編だから、一月分。ちょうどいいね。
どの話も、ほんとに、いしいさんらしい。「もったいない、長編にしたらいいのに…」と思うもの多数。
「なぞタクシーのヤリ・ヘンムレン」、「調律師のるみ子さん」、「大泥棒の前田さん」、「棺桶セールスマンのスミッツ氏」、「風呂屋の島田夫婦」…これは心も体も温まったな〜。それから「図書館司書のゆう子さん」、「象使いのアミタラさん」、「床屋の国吉さん」…床屋さんと住職の友情物語。
などなど、書いていくとキリがないのでこの辺で。

書店のレヴュー

ダ・ヴィンチ連載の「本当のしごと」をまとめた一冊で、30の作品は長くても6ページ、短いものは2ページ。短編でも、全ていしいしんじさんの世界がそのまんま。この独特な世界観が苦手な方もいるかもしれませんが、私は好き。国籍不明の風景と静かな静かな語り口が心に染み入ります。◆「○○の××さん」とタイトルが付けられた30の主人公はみな、正に「使命」のように自分の仕事を持っている。世の中は楽しいことばかりではなく、困難や、嘲笑、裏切りなど悲しいことも多い。それでも自分の仕事に誇りがあれば、それだけで「よかった」と思えるんだな。06/10/20★★★★