「四度目の氷河期」荻原浩。

四度目の氷河期

四度目の氷河期

面白かった!
最初、ワタル君のお母さんが遺伝子工学の研究者で、クロマニヨン人がお父さん、と来たから、これはSFっぽい話かと思っちゃいましたが、さにあらず。
少年の成長物語、でしたね。
髪や目の色が違う、体も大きい、じっとしていられない性格から、自分は、氷河から発見されたミイラから取り出した遺伝子で作られたクロマニヨン人、と思い込むワタル少年が主人公。
自分は特別、普通じゃない、クロマニヨン人の子だから、という呪文がワタル少年の支えになるのです。


で、後に特別じゃない事がわかり、「自分は自分なんだ」ということに気づくんですけどね。
男の子の母である私としましては、結構ハラハラドキドキものでした。
人の話は聞かないし、人に話さないし、思い込みが激しい。まったく、馬鹿者ですよ、ワタル君は。
…もちろんいい子でもあります。可愛い。
恋人サチもよかった。まだまだ子どもっぽくはあるけれど、二人一緒なら大丈夫でしょう。
しっかし、犯罪はいかんな〜。


最後のほうは急ぎすぎじゃないか、と感じなくもなかったですが(女子高生は簡単にロシアまでいかないと思う)、かなり調子よく読めました。これはおすすめ。

書店のレヴュー

体も大きいし髪の色も目の色もみんなとは違う…他の子とは違う自分はいったい誰?◆思春期に「自分はクロマニヨン人の子」と思う事でアイデンティティの危機を乗り越えようとした少年の青春物語。幼年期から高校卒業まで、「自分は特別」と思い込む主人公ワタル少年の姿は痛々しくもあるけれど笑ってしまう。思春期の自意識過剰は、しょせんはたから見れば滑稽なのだ。外見の違いによる差別、田舎特有の閉鎖的環境、母の職業への偏見など、次々訪れる試練を乗り越え、ラストでは、自分探しの旅の最終点に到達する。なかなかの感動超大作。06/11/29★★★★