「スイッチ」さとうさくら。
- 作者: さとうさくら
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2006/04/22
- メディア: 単行本
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「日本ラブストーリー大賞審査員絶賛賞」ってわけわからないっぽい賞を受賞したそうで、あとがきによると、柴門ふみと桜井亜美が絶賛したらしい。
大賞はちゃんとしたラブストーリーが受賞したのか知らないが、この作品はラブストーリーではないところが面白い。だから大賞じゃなかったんだろうな。
人とコミニュケーションが取りづらい主人公苫子さん。人に見下されるのはいやなくせに、実は自分も人を見下している。イライラする事があると、首の後ろにスイッチを想像して、それを押してみる。みんないなくなればいい、消えてしまえばいい、と思っているのです。
そんな彼女が、ビルの清掃員のバイトをするところから始まり。
そこでOLとして働くそつがない短大の同級生結衣、同僚の中年女性中島さん、前のバイト先の仲間高津君、結衣の恋人で以前にちょっとだけ付き合ったことのある川瀬君などと出会い、面倒くさい、うざい、疲れると思いながらも人間関係の経験値を上げていくことになるのです。
やがて喫茶店のマスター通称「サル男」とちょっと恋愛してみたり…。
あたりまえに、誰にとっても人間関係は難しい。でも卑屈になっていると、それが見えてこないものなんだね。
結局は、全てがあまり上手くいかず、相変わらずバイトを転々とする生活は変わりはないんだけれど、なんだかいい雰囲気な終わり方が気持ちよかったよ。
書店のレヴュー
26歳フリーターの苫子。今までちゃんと恋愛した事もなければ、友達もいなかった。小説を書きたかったのにバイトに追われ夢も尽きた。バイトもなかなか長続きしない。人間関係が怖い苫子は、人や自分の首の後ろに「見えないスイッチ」をつけて押していく。「みんな消えていなくなればいいのに。」◆「日本ラブストーリー大賞審査委員絶賛賞」となんとも変わった賞を受賞した作品。厳密にいうと恋愛小説ではなく、卑屈な考えしかできない孤独な女性の成長物語です。自分が嫌い、変えたいけどできない、と思い悩みながら過ごす姿は、あまりに現実的で、つい自分と重ね合わせてしまいました。06/12/22★★★