「ラス・マンチャス通信」平山瑞穂。

ラス・マンチャス通信

ラス・マンチャス通信

これは…変わった作品だった。ホラーっぽいファンタジー
う〜ん、不条理の中に放り込まれて、やむなく無感覚になろうとするものの上手くいかず、ますます身動きが取れなくなってしまう男の話…かな。
三崎亜記の作品の雰囲気をグロテスクにしたような?
結末は吹っ切れた感じがよかったね。「自分」を見失わない姿勢がキッパリしていた。
2作めの「忘れないと誓ったぼくがいた」とも全然違っているし、ましてや「シュガーな俺」なんか全く違う。引き出しの多い人なのかもしれないね。
あ、この本が日本ファンタジーノベル大賞を受賞した時に「シュガーな俺」状態だったのね。あれはフィクションでしょうけど。

書店のレヴュー

家族との別れの旅路のフェリーで上映された映画「ラス・マンチャス」。町の汚点と言う意味のそれを、そのまま僕は、僕の家族は具現していたのか。◆第16回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作だが、かなり異様なファンタジーだ。どうしても上手くいかない僕の人生は、理不尽なものから逃れられない不条理に満ちていて、何のために生きているのか、なぜ生かされているのかわからなくなる。現代が舞台なのに「アレ」「次の奴」「鬼」など異形のものが各種現れる不思議。疑問に思う事さえ禁じられて生きてきた「僕」と家族の悲しい結末は、思ってもみなかった程切なかった。06/12/26★★★