「失われた町」三崎亜記。

失われた町

失われた町

一月に予約して、ようやっと読めました。
直木賞候補になり、本屋大賞では9位でしたか。随分と話題になりましたね。
三崎さんの今までの作品は理不尽な設定が大変魅力的でしたが、今回の「失われた町」も、とんでもなく理不尽。
一つの町の住民がまるごと消滅してしまうということ。それが何なのか、詳細な説明がないので判らず仕舞い。
まあ、世の中には判らないことは山ほどあるのが現実だからね。で、勝手に想像すると、未知の生物、地球外生物、はたまたこの世の創造主の為せること。
で、消滅によって大切な人を失った人たちが悲しみから立ち上がり、理不尽さと戦っていくお話。
これは、かなり面白かった。
思いついたのは、なぜかプロジェクトXだった。
この後さらに何年もかかって、人間が「消滅」から完全に解放される時がくるんだろう。この話は消滅からの解放を巡る歴史のさわりの部分。


よくわからない設定や造語がバンバン出てきて「アタマグルグル」になりかけたけれど、この世界観に一旦なじんだらのめり込んでしまいました。これは好き。
「西域」や「居留地」の話なんかも番外編で作って欲しいな。

書店のレヴュー

30年に一度、町の住民が一斉に忽然と消えてしまう「町の消滅」という現象。「町」の意思が働いているため、残された人たちはそれを悲しむこともできない。この人智を越えた存在に抵抗する人たちの物語。◆人は逆らえない巨大な力。長い年月の間繰り返され、受け入れざるを得ないままにされてきた現象に対して、敢然と立ち向かおうと決心する人の姿は美しい。やがてその意志は後進に受け継がれ、「消滅」に対する人の歴史が作られていく。そして一人ひとりにはそれぞれのドラマがある、ということ。◆細部にまでこだわった設定がすごい。があまりにも大量過ぎて中途半端で雑然としている感じ。あえて説明はしない、というのがこの作者の味なんだろうけど。07/04/19★★★★