「千年樹」荻原浩。

千年樹

千年樹

今までの荻原さんと感じが違うな〜全然甘くない。
読み始めは「ナンジャラホイ?」と思ったけれど、1つの話で2つの時代のパターンと気付いてからは(2つ目の話で気付いたし)、楽しめました。登場人物がリンクするのは流行なのか。それはそれで面白いよね。
全体のまとまりもよかったし、これで直木賞も取れるかもな。

書店のレヴュー

千年の樹齢を誇る巨大なくすの木。萌芽から伐採されるまでの間、くすの木が見続けた人の世の移り変わり。◆8つの連作短編集。一つの作品が2つの時代をリンクし、かつ全体も互いにリンクする作り。中心にくすの木があって定点観測している。大きな木からは、母なるイメージや癒しを連想するかもしれないが、この連作はさにあらず。時代を越え生き続けるもの大きさと、そうでない矮小な存在のものたちの愚かさが対照的だ。木は自在に種の保存を操り千年生き続け、千年経っても人は相変わらず愚かなまま変わらない。それが生態系の理なのか。◆「郭公の巣」はホラー並みに怖い。「バァバの石段」はほのぼのする場面も。07/05/14★★★★