「6時間後に君は死ぬ」高野和明。

6時間後に君は死ぬ

6時間後に君は死ぬ

これは面白い。
他人の未来、それも非日常的なことに限って見えてしまう能力を持った山葉圭史君のお話。圭史君はキーマンだけど、主に動くのはヒロインの方。未来を予言されて、人はどうするか、ってのがそれぞれの話のストーリー。未来は変えられるのか、変えられないのか。
出だしの表題作は硬いというかぎこちないというか。それがドンドンよくなっていく感じがした。
高野さんの作品は「幽霊人命救助隊」以来。その前に「13階段」も読んだことがあったはずだけど内容の記憶は、正直定かではない。ハードなサスペンスだったよね。
まあヒューマニズムな作風の方が優しくって好きかも。
以下メモ。
「6時間後に君は死ぬ」
25歳の誕生日を前に、見知らぬ男から6時間後の死を予言されてしまった美緒。その男圭史とともに、死を避けるべく行動を開始する。
「時の魔法使い」
脚本家を目指しているものの、なかなか芽が出ず、生活が苦しい未来(みく)。郷愁に駆られてかつて住んでいた場所を訪れて、出会ったのは20年前の「私」だった…。タイムスリップ物。子どもの頃に将来の自分の姿がわかってしまったら?ハートウォーミングな結末がいい。
「恋をしてはいけない日」
この日恋をしてはいけない、と圭史に予言された日に、恋してしまった未亜。悲しい恋にしないように奔走するものの…。この結末もよいです。未来は変えなくとも幸せ。
ドールハウスのダンサー」
プロのダンサーを目指す美帆。オーディション、レッスン、仕事に明け暮れる日々の中にデジャビュを見るようになる…。人の幸せは一通りではない、ということ。
「3時間後に僕は死ぬ」
圭史には自分の未来は見えない。だけど美緒の未来の中で死んでいる自分の姿を見てしまった…。これはハラハラドキドキ、手に汗握る展開。圭史を死なせないため、美緒ががんばります。その執念はついに…。