「スペース」加納朋子。

スペース (創元クライム・クラブ)

スペース (創元クライム・クラブ)

素敵な話でした。せいいちさんのアドバイスどおり、間を空けずに読んでよかった。でもずっと前から加納さんのファンだった人は、スペースを読むまでに何年も空いてしまっていたのですね。
前半の「スペース」。長い長い手紙は、なんだか空々しくっていささか退屈。種明かしのあと「それでいいのか?」と思ってしまいましたが。(ここから反転→)だって、はるかさんが花巻に行ってしまった事はまあいいとしても、はるかさんがまどかさんの代わりに短大に通っているなんて、それはかなりまずくないですか?頭固い大人としては、そんないい加減な事は許しませんよ。(事実「ひともめ」あったと。最後にしっかりフォローしてある。)(←ここまで)
で、後半の「バックスペース」。前半の腑に落ちない所をすっきり補完してくださってありがとう!別の視点から見ると、同じ世界がこうも全然違ったものに見えるなんて。
すっかり加納さんのファンになったので、他の作品の読みましょう。まずは「ガラスの麒麟」からですね。

書店のレヴュー

生きていればきっと、逃げ出すよりほかに道がないときだってある。一度打ち込んだ文字を、バックスペースキーで消したって、少しくらい後戻りしてやり直したっていい。「ななつのこ」「魔法旅行」に続く駒子シリーズ。駒子が瀬尾に渡した手紙の謎。◆ここにたどり着くための前2作だったのか、と思うほど、シリーズの中では群を抜いて面白かった。挿入されている手紙の違和感にも実はキッチリ意味があり、後半の「バックスペース」ですっきりすくい取ってくれる。◆同じものを見ていても、人によって感じていることが全く違って驚く、というのは実生活でもままあること。そういう日常の出来事をポイントにした作品だから親しみや暖かさを感じるのだろうか。ミステリとしても恋物語としても大変オススメです。07/06/29★★★