「家日和」奥田英朗。

家日和

家日和

面白かった。奥田さんの本は安心感があってよいですね。
今回は「家」がテーマの短編が6つ。ちょっとした波乱と、幸せな結末。
サニーデイ
子どもが成長とともに相手にしてくれなくなって、自分の存在意義が揺らいできた気がする専業主婦。使わなくなったピクニックテーブルをネットオークションに出したら思いのほか高値で売れたのに気を良くして、次々に出品してしまい…。
え〜、ウチにもコールマンのアルミ製テーブル&ベンチセットがあるんですけど、売れるんでしょうか?
「ここが青山」
会社が倒産して失業者に。が、代わりに妻が即行再就職を決め、専業主夫になることに。
適材適所、でいいじゃない、というお話。「人間至るところ青山あり」って、使った事がないので、どこかで使いたいです。
「家においでよ」
妻が荷物を持って家を出て行ってしまった。広くなった部屋を自分好みに改造したら、会社の同僚たちが入り浸り。
我が家には夫の部屋が一応あるんですけど、普段いないのをいいことに物置状態。反省して片付けます!
「グレープフルーツ・モンスター」
内職の仕事を運んでくる若い男に、夢の中でエクスタシーを感じてしまった主婦。次第にエスカレートして…。
これは……。ダンナの相手もしてください。
「夫とカーテン」
夫が会社を突然辞めカーテン屋を開業する、と言い出した途端、自分の仕事が上手く行き出したのはなぜ?
なんだかんだいってもバランスが取れてる夫婦なのだった。長続きしてる夫婦ってこんなものかも。
「妻と玄米御飯」
夫が売れっ子作家になってお金の心配がなくなった夫婦。妻は「ロハス」に懲りだして生活は一変、肉は食えない、ご飯は玄米、ヨガやエコロジー諸々。地球に優しく体によい全くの正論になかなか反論できずない夫は、それを小説のネタに茶化したのだったが…。
申し訳ないんだけど面白い。
環境問題は錦の御旗、それ言い出されたらもう反論できないよな〜。

書店のレヴュー

ネットオークションにハマってしまった主婦、会社が倒産して失業・主夫になった夫、内職を運んでくる男に心ときめかせる主婦、などなど。「家」というか、家族・家庭がテーマの短編集。どの話も、ごく平凡に幸せなのに、どこかしら不満を持ってしまい、微妙に怪しくなってしまう…でも結末は全てハッピーエンド。◆今回の奥田作品も実に上手。普通の人の中のちょっとしたことに着眼、面白おかしく仕上がっています。幸せなくせに、些細な事で全部不幸せに思ってしまうのが人間なんだな〜。◆「妻と玄米御飯」夫が人気作家になってお金の心配がなくなった途端、妻がロハスにハマってしまい…。ロハスが正しすぎて居心地が悪く感じているのを、小説のネタにして茶化したくてしたくて葛藤する姿が可笑しすぎ。実体験?07/07/29★★★★