「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸。

木洩れ日に泳ぐ魚

木洩れ日に泳ぐ魚

千浩と千明。数年間一緒に暮らした二人は別れることにした。
引越しの前夜、とある事柄について明確にすべく2人は意を決して話し合うことに。


登場人物は2人だけ、舞台はからっぽのアパートの一室。
2人芝居の脚本のような作品。
千浩と千明が、ある秘密について語り合うのだが、互いの持ち札を出し合っていくうちに新たな事実が浮かび上がってきて……。と、いうふうにどんどん話が膨らんでいくのについつい引き込まれた。空想妄想半分だったりするんだけどさ。そんなのどうでも良くなってしまったわ。
緊迫した深夜の状態から始まって、気だるい夜明けまで、の、たった一晩の出来事が、壮大な人間ドラマのよう。でもあっという間に読めてしまう厚さしかなくって、お手軽感がよかった。