「天平冥所図会」山之口洋。

天平冥所図会

天平冥所図会

時代は天平、舞台は平城宮、主人公は葛木連戸主。三木謙次さんのイラストがよい。「僕僕先生」の絵、書いた人だね。
タイトルがこれだから魑魅魍魎わんさかなお話しかと想像してたら違った。霊は出るには出るが。
史実を下敷きにした「昔から木っ端役人は辛かったのよ」的ストーリー。政権抗争に巻き込まれる下の者たちは大変。
話は4つ。
三笠山」は東大寺大仏開眼までのエピソード。タタラ職人の男が行方知れずになり、残された子が父親探しをする。
正倉院」は、光明子が亡き夫聖武天皇の遺品を奉献したときのエピソード。「献物帳」の作成に奔走する戸主の並々ならぬ苦労と渦巻く陰謀の数々。
「勢田大橋」は藤原仲麻呂の乱のエピソード。孝謙上皇道鏡の恋路のために吉備真備が活躍。
「宇佐八幡」は宇佐八幡宮神託事件のエピソード。道鏡の野望の真実。


どの話も歴史上の人物を個性豊かに描き、それ以外に霊やら神様やらを絡ませて、面白おかしく仕上がっていた。
歴史の勉強にもなったぜ。これ大河ドラマにしたら面白そう。