「バーチウッド」ジョン・バンヴィル。

バーチウッド (ハヤカワepi ブック・プラネット)

バーチウッド (ハヤカワepi ブック・プラネット)

バーチウッドは、ゴドキン家の農場の名。本書は、ゴドキン家の跡取り息子であるガブリエルの追想。昔はよい時代もあったゴドキン家だったが、もはや狂気に支配され崩壊寸前、ガブリエルは家を出て、生き別れの双子の妹を探すためサーカスの一座とともに旅に出る……。


なかなか凄まじいストーリー。
まず、第一章の家族の不幸がすごい。祖父は樺の木に齧りついて死に、祖母は爆死(人体自然発火?)、母は狂気に取り付かれ、父はアル中で冷酷、納屋が焼け叔母が焼死。
第二章では、サーカスとともに旅した一年間の思い出。飢饉に苦しめられ、官憲やテロリストにひどい目にあわされ、ここでもロクな事にあわない。
そして第三章の種明かし、となる。


アイルランドの歴史的背景も絡んでいるのかもしれないけど詳しい事はわからないし、理解に苦しむ箇所が多々あって、面白かったとは言えないかも。でも文章はきれいで幻想的。
最後の種明かしはさほど驚くようなものでもないのだが、わかったあとで読み直すと「なるほど」と感じたりする。愛憎表裏一体の一族の物語だ。
ま、でも気分よく読める話ではなかったな。