「ぐるぐる猿と歌う鳥」加納朋子。

ぐるぐる猿と歌う鳥 (ミステリーランド)

ぐるぐる猿と歌う鳥 (ミステリーランド)

楽しみにしていた加納さんのミステリーランド、ようやく読めました。
非常に面白かった!


目を離すと何をしでかすかわからない、と周囲から警戒されている少年高見森は小学5年生。いまどき珍しい子どもらしい子どもで、考えもなしに行動してしまうタイプ、それゆえ誤解も受けやすいのだ。4年生のとき友達になりたいと思っていた子と思いがけずトラブルになり喧嘩、いじめっ子のレッテルを貼られたまま、父親の転勤で北九州に転校してきた……。


大人の都合を子どもたちの目線で描かれていて、その描写が素晴らしい。また、幼いときには理解できなかったことが、成長して初めてわかる瞬間なんかも感動的。
理不尽な事や、思い通りにならない事がこの世にあることもちゃんと知っていて、その上で子どもにできることをやっていく強さ。いいな〜。


さて、このお話は社宅が舞台ですが、山・社宅・工場・海の位置関係とか、方言とかが、私がかつて住んでいたところを彷彿とさせて懐かしかった。今も変わらずあるかな〜?
大人は「社宅は息苦しい」と思う人も多いだろうが、私の経験では、見知らぬ土地で暮らすには便利だったし大層居心地がよかった。
本作では、子どもにとっての社宅のメリットがよく書けていると思う〜連帯感や、他の土地に行って出会うこともある可能性とか。
★★★★★