「街の灯」北村薫。

街の灯 (文春文庫)

街の灯 (文春文庫)

舞台は昭和7年の東京。士族の花村家令嬢英子と運転手のベッキーさんこと別宮みつ子のコンビが日常の謎を解くストーリー。
日常といっても、宮様・華族がご学友である良家の子女の日常で、下々の人間たちとは違うのでございます。ですからはっきりいって「非日常」なんですけどね。時代が時代だから、きらびやかな世界も儚く思われ、尚更に美しい。
話は3つ。下宿屋で起きた事件を解決する「虚栄の市」、暗号を解く「銀座八丁」、軽井沢を舞台に家庭教師の死の真実を探る「街の灯」。


一番の魅力は、ベッキーさん。ただの運転手ではなく、護衛も兼ねるスーパーレディなのだ。彼女がメチャクチャかっこいい。しかも、社会常識に欠ける英子お嬢様を助け、適切にアドバイスし、導く。何という聡明さ。憧れの「執事」に勝るわ。まあ、ちょっと出来すぎ感は否めないけど。
というわけで、近々続編「玻璃の天」も読みましょう。