「いのちのパレード」恩田陸。

いのちのパレード

いのちのパレード

短編が全部で15。早川書房異色作家短篇集のオマージュだそうで、なるほどSFともホラーともミステリとも言えそうな奇妙な話ばかり。シュールな話は体に合わない人には、全然ダメだろうな、と思いますわ。


はて?と感じるものもあったけど、トータルでは「面白かった!」といえます。
10番目の「あなたの善良なる教え子より」までは、粒ぞろい。どれも非常によかった。ザワザワ、ゾワゾワ感がツボに入ったよ。
最後の「夜想曲」は、主がいなくなった後も動き続けるロボットと妖精さんのお話だが、美しくまとまっていてラストにふさわしい。
一番のお気に入りは「隙間」。ほんのわずかに開いたドアや戸の隙間が怖い男の話。その隙間から何者かが現れ襲ってくるような妄想は、いつしかリアルになって……これは怖いな、暗がりが気になってしょうがなくなる感覚がドキドキしてたまりません。