「ラットマン」道尾秀介。

ラットマン

ラットマン

姫川亮は30歳。高校の同級生たちとバンドを組んで14年。23年前に姉を事故、父を癌でほぼ同時になくして以来、母親との関係も上手くいかず、心の奥に闇を隠したまま。
バンドのメンバーだったひかりと恋人関係だったが、最近は気持ちがひかりの妹である桂に傾きつつあった。そんな中、ひかりがアンプの下敷きになって死亡する。
ひかりの死と、23年前の姉の死。二つの事件の真相について、亮の思考が二転三転するミステリ。


これは素晴らしかった。見事。
「人の絵」と思ってみれば「人」に見え、「ねずみ」と思って見れば「ねずみ」に見える、ラットマン。作中にイラストが挿入されているのでわかりやすいね。
その思い込みの妙をミステリに使って、後半2つの事件を鮮やかにひっくり返して見せてくれた。うまいな。ネタバレになるから詳しく書けないけど、「見た」だけでは本質まではわからない、ってことですかね。