「君の望む死に方」石持浅海。

君の望む死に方 (ノン・ノベル)

君の望む死に方 (ノン・ノベル)

「扉は閉ざされたまま」の続編。今回は「殺人が行われるまで」を丹念に描写、という趣向で、又もや変り種。
保養所で行われる社員研修が舞台。
ガンで余命幾ばくもない社長の日向が、彼に恨みを持つ社員梶間の復讐に協力しようじゃないか、と画策、保養所の中に凶器になりうるものを配置したり、鍵をわざと開けておいたりする。
一方の社員はそんな社長の気遣いに気付かずに、復讐の機会を狙っている。
そして探偵役は、もちろん碓氷優佳。持ち前の超人的推理力によって二人の計画をいち早く察知、ことごとく粉砕していく……。


ありきたりの動機と心理描写で、加害者被害者双方の心情もわかりやすく、二人が虎視眈々とチャンスを狙いあう展開は読み応えがあった。
優佳の活躍ぶりは、「扉〜」では、じわじわと犯人を追い詰めていく感じだったが、今回は知らず知らずのうちにはじまり最後に大きく決定打。日向と梶間の二人を完璧に操作する優佳の恐ろしさといったらない。どんな人間も優佳の前では道化。
で、またオドロキの結末!優佳、やってくれるじゃないか。
「扉〜」の時には、人格的に優佳ってどうよ?って感じだったけど、今回は「やはり優佳はこうでないと!」と思わされた。キャラクター作りに成功してるよね。そんなこんなで断然前作よりこちらの方が上。
次回作もあるのかな、期待。