「出口のない部屋」岸田るり子。

出口のない部屋 (ミステリ・フロンティア)

出口のない部屋 (ミステリ・フロンティア)

女性編集者が、無理を言って担当ではない女流作家のもとへ原稿を受け取りに行き、その場でその原稿を読むところから始まる。
「出口のない部屋」という作中小説は、3人の人物がどこかわからない一室にいつの間にか閉じ込められる、というもの。研究者の女性、医者の妻、小説家の3人は閉じ込められた理由を探るため、各自の過去を語り始める……。


ミステリなんだが、ミステリな部分より人のドロドロした感情が渦巻く愛憎劇が濃い。いい人は1人も登場しない。全く人というものは、こうも醜いものなのか。かなりうんざりした反面、そこが魅力だったのか、ガシガシ読めた。
現実世界の出来事と、それに呼応して書かれた閉じ込められた3人の謎が合致する瞬間は見事。まさかの真相だったよ。