「アイスマン。ゆれる」梶尾真治。

アイスマン。ゆれる

アイスマン。ゆれる

30代の知乃が主人公。病弱の母親と二人暮らし。消極的で気後れする性格、恋愛関係も苦手。母親のこともあって結婚はしないつもり、といつも言い訳している。
そんな知乃には特殊能力があって、祖母の遺品からみつけた「相思相愛」のお呪いができるのだ。だけど、それは自分には使えないし、また使ったときには知乃自身の体にかなりのダメージがある、という代物。
あるとき、高校時代の同級生である東村君と再会、知乃は恋心を抱くが……。


ハラハラさせられっぱなしで、面白かったぁ。
アイスマンっていうから氷河期から来た男の話かと思ったら、全然違った。基本設定はSF入っているけど恋愛物。「女性自身」に連載されていたそうで、女性向けに書いたんだろうな。
とにかく主人公の知乃のイジイジぶりが半端ないんですわ。言いたいことも言えないし、ものすごく卑屈。ほとんど最後までその状態。これにはイライラしたけど、それがかえって「この人は大丈夫なんだろうか?」と不安を煽るので面白いのだ。ま、小説の中の人だしね。これがホンマもんのお友達だったら、私キレてます、きっと。
一方恋敵(でもないけど)の友人鮎美は、仕事バリバリ、美人、さっぱりした性格。こっちの方が、女から見ると圧倒的に魅力的ですわ。
結局、東村君との恋を成就するのは知乃か、それとも鮎美か?の三角関係(ドロドロしてない)のお話なわけで、あのお呪いをいつどう使うのかワクワク、ラストはすっきり爽やか。