「ガーディアン」石持浅海。

ガーディアン (カッパ・ノベルス)

ガーディアン (カッパ・ノベルス)

OLの勅使河原冴。幼い頃に父を亡くしたが、父は生前冴に「死んでもずっと守るから」と約束していた。父の死後、冴を守るガーディアンが現れて、危険から守ってくれていた…。


ガーディアンといっても姿が見えるわけではなく、危険回避も物理的なものに対してのみ。悪意のない場合はバリアのように、悪意のある場合は割り増しで仕返し。


死んだお父さんが守ってくれているなんて、心温まる話のように聞こえるけど、全然そうでないところがなんとも石持さんらしい。自動的に作動するガーディアンの行動にちっとも「愛」が感じられないのよ。痴漢の指5本全部へし折るなんて、お父さんやり過ぎです。後半は、冴の娘である円(まどか)に憑くんだけど、その防御システムをエスカレートさせていて、さらに情け容赦ない。


ポイントは冴・円の意思に関係なく行動するガーディアンさんを利用して事件を起こすにはどうしたらいいか?ということ、だったんだな〜。この設定を思いついたのはスゴイ、と思ったよ。
でも後味悪くって。特に後半の話は人死に過ぎ。無関係の善良な人々を簡単に次々殺し、そのことに対する反応に人間味がなくって、どうにも気分が悪かった。

もっとも「愛」を期待するなら「石持さんは読むな」って話かもしれない。でもきっとまた読んじゃうんだな、これが。