「ばかもの」絲山秋子。

ばかもの

ばかもの

冒頭から男女の絡みの描写で、一体何の話かと思いきや…よい話でありました。こういう性交シーンは苦手の方もいらっしゃるとは思いますが、是非是非耐えて読み進めていただきたいと思います。

この作品の主人公である青年ヒデ(始まり時で大学生)は、それまで苦労を知らずにきたんじゃないだろうか?親から与えられる幸せを幸せと感じることもなく、大人になってからも楽して手に入る範囲のものだけで満足し。
弱い。逃げている。甘ったれてる。どうしようもないよ、ヒデ。…読んでいる途中、フツフツと怒りがわいた。


そんなヒデの転落と更生、そして恋人だった額子との再会。


結末は希望の光だったけど、これでいいのかよくわからなかったなあ。失ったものの代償に得たもので安穏にしていては、また同じことのような気がしないでもなし。まあ、ここから後は想像するのみ。