「金魚生活」楊逸。

金魚生活

金魚生活

楊さん初読み。芥川賞受賞作も読んでいないけれど、タイトルに引かれて手に取った次第。金魚生活…私も金魚を飼っていたことがあって、愛着がある。金魚がいる生活もオツです。


さて。
主人公の玉玲は、中国東北の町に住み、飲食店で働いている。夫を突然の事故で失い、一人娘は大学を出た後日本に留学、就職、結婚。家族ぐるみで付き合っていた男周彬に言い寄られ、意に沿わなかったけれどもつい寂しさに耐えかねて同棲中。そんなおり、娘の出産の手伝いのため日本へ行くことに。
「金魚」は中国語の「金余(金が余る)」と読みが同じで、縁起がいいらしい。玉玲の働く店でも巨大水槽に金魚を飼っており、玉玲はその飼育係。そして家でも1匹の金魚を飼育中。

玉玲の生活は、派手ではないけれどもそこそこの生活レベルであり、それもこれも計算づく、というと表現は悪いけれども、常によい選択を考えてきた結果でとても合理的な生き方だった。
それが日本に来て変わっていったのだろうか(そう思いたい)、最後の最後で思わぬ展開…。
日本人としてはちょっと残念な結末ですが(笑)、情を重んじる日本人に感銘するストーリーであったな〜と思うのですが、どうでしょう?
それにしても娘が自分本位過ぎる。それって世界共通か。

日本で暮らす中国の方々の悲喜交々がなかなかに興味深かった。日本は優しい国ではないのかな〜日本に住んでいいことあるのかな…とか色々。酷い日本人は登場しないのは、楊さんの気遣いかもしれないね。