「チェーン・ポイズン」本多孝好。

チェーン・ポイズン (100周年書き下ろし)

チェーン・ポイズン (100周年書き下ろし)

2つの話が交互に語られる作り。
一つ目。生きていくのに疲れ死にたいと考えはじめたOLの前に現れた人は、一年間頑張って生きたらご褒美に楽に死ねる薬をくれる、という。
二つ目。服毒自殺をしたOLの死に興味を持った記者が彼女の生前の行動を調べ、毒の入手方法を突き止めようとする。


大変面白かったです!
これの感想をネタバレなしで書くのは難しい…。
結末で2つの話が実は○○である、というのが明かされる叙述トリック、まんまと騙されました。
しかし、それがなくとも、一つ目の話だけでとてもよい話でした…感涙。死ぬ気になれば何でも出来る、とよく言われますけれども、死ぬ覚悟のおかげでどんどんよい方向に変わっていく主人公の姿に心打たれました。


一方で、二つ目の話をからませて「死ぬ気になったところで必ずしもいい方向にいくわけではない」と突き放す冷たさも。


死ぬ覚悟はなくとも、自分で変わろうとする意思があれば、なんでも出来そうですが。もうすぐ4月だし、新しく何か始めるのにはいい季節だな〜と思ったのでした、マル。