「女中譚」中島京子。

女中譚

女中譚

林芙美子吉屋信子永井荷風の女中の話をトリビュートした作品集。これは良作でした。中島京子さんは初読みでしたが他も読んでみたい。
秋葉原メイドカフェに通う老女すみが、隣り合わせた客やメイドさんたちに語る自分の過去の話が3つ。
私が読んだことのある元ネタは吉屋信子の「たまの話」だけ。これは、世話になった女中たまに感謝しつつ栄光の階段を登っていくお嬢様と、不幸のどん底に落とされていてもなおお嬢様を敬愛するたまの「明と暗」を対照的に描いた悲しいけれど美談だったと思う。それが中島さんの手によって「目から鱗」のようなお話に。
他の2作の元ネタは知らないので読んでみたいな〜多分読んでないと本当の面白さはわからないんじゃないかと思うので。
そして、トータルで「弱者と強者」の話になっているところが素晴らしい。誰が強者だったのか。色々考えさせられました。