「汐のなごり」北重人。

汐のなごり

汐のなごり

北前船の着く港町、水潟を舞台にした短編集。平成20年下半期、第140回直木賞候補作。


どれも地味だけれどいい話ばかりだった。遊女や商人、役人などの人々がみなそれぞれに身の丈をわきまえ、誠実に暮らす姿に共感した。
登場人物の年齢が50歳〜と高めで、今までの人生をまとめるかのようなストーリー。生きる苦労は多かったけれど、まっすぐに必死に生きてきたことが報われた、という救いがあるのは、本当にホッとする。
そして何といっても、海と山と雪。情景が美しい。