「無理」奥田英朗。

無理

無理

夢も希望もない町「ゆめの市」を舞台に、5人の主人公たちが「奮闘しているにもかかわらず悪いほうへいってしまう」スパイラルに陥っていくさまを描いたストーリー。


とても面白うございました。どうやら「最悪」とか「邪魔」と同じ路線らしいが、それらは未読。残念。
地方都市の抱える問題をこれでもかと盛り込んで、主人公たちがどんどん悲惨な目にあっていくのだけれど、陰陰滅滅した雰囲気でも、お茶らけた感じでもなく、ただただひたむきな一生懸命さが伝わってきた。ま、そのひたむきさを向ける方向が微妙に間違っている(笑)。とにかく結末が気になって目が離せなくなる面白さ、だった。
その結末は、なかなかいいアイディア。「無理しすぎる人間の行き着く先は皆同じでロクなことはない」と捉えていいかな?途中で5人が交差する場面が少なかった分、ラストはみんな一緒に。


それにしても、この小説は寒い。異常気象で冷え込みが激しい冬、という設定で寒いの。でもって表紙カバーもとっても寒そうなのだ。寒さが人の判断力を鈍らせる、って意味合いがあるのかもしれないなあ。