「光待つ場所へ」辻村深月。

光待つ場所へ

光待つ場所へ

中編が3つ。過去の作品の番外編のようなもの。前作を読んだ後でより感慨深い。「冷たい校舎の〜」「スロウハイツ〜」「凍りのくじら」などなど。苦しみの先にある光が暖かいお話ばかり。
以下メモ。
『しあわせのこみち』は、大学に進んだ清水あやめが、絵の道へ進むことに葛藤するお話。秀でた才能を持つ人の気持ちは凡人の私は理解できなくてちょっといたかったが、ラストはすんごくいい。清水の笑顔を想うと、本当に良かった。
『チハラトーコの物語』嘘つきの千原冬子の半生。「スロウハイツ〜」のときは、ただただ悪意の人だと感じたけれど、こうして過去と現在を知って、愛すべき人に印象が変化した。環が元気そうで嬉しい。
樹氷の街』松永郁也くんの中学時代のお話、合唱コンクールのエピソード。泣けた。椿と秀人はこの頃すでに安心感でいっぱい。