「地下の鳩」西加奈子。

地下の鳩

地下の鳩

大阪歓楽街で働く男女のお話、中篇の表題作と短篇の「タイムカプセル」。
どちらの話もずっしり重苦しかった。いい年して自分探し、がテーマなのかな。はっきりした結末でないから余計に苦しい。立っている場所は全然違うけれど同年代としてわが身に重ねて思いを馳せると、まだ負けてない、夢や希望を持ってもまだ間に合うよね?と思いました。
特に「タイムカプセル」はよかった。
本当は臆病なのに虚勢を張ってしまう癖のある吉田の弱さ、大量に食べては吐くを繰り返すことで生まれ変わろうとするみさを、正直に嘘をつき続け生きてきたオカマのミミィ。人間らしくて三者三様になぜか愛しい。

「決起!コロヨシ!!2」三崎亜記。

序盤のれなくて、読了まで意外と時間かかりました。次第に加速して事なきを得ましたが。前作を読み返しておけばよかった、と若干後悔。『掃除』の美しさは忘れていなかったけど、脇役は全滅で覚えていなかった。トホホ。
前作は青春スポーツ高校生もの、でしたが、今回は一転。前作で『掃除』の魅力を十分に堪能したあとの新章、大いなる陰謀に果敢に挑む高校生。サスペンス風味でした。だからか塵芥がキラキラする風景はついぞ想い浮かばず、残念。あと後半、都合良過ぎの急ぎ過ぎっぽくなかったか。そういえば表紙も残念かも。誰だ、これは。
いやいや、不満ばかりではなくて。
全体ではとても面白く読めました。いささか過酷な冒険を経て少年は大人になったのだった、的ストーリー。んで、まだ終わらないらしい。新しい世界に旅立ったらしい次回作も楽しみ。内容忘れないうちに出して欲しいわ。