小川洋子「ブラフマンの埋葬」。

ブラフマンの埋葬

ブラフマンの埋葬

書店のレヴュー

迷い込んだ謎の生き物「ブラフマン」(カワウソ?)と過ごした夏の思い出。タイトルから、ブラフマンが死ぬのだということがわかっていて、読み進めるうち、逃れられない死に囚われたような感覚になった。ブラフマンに愛情を注ぐ主人公「僕」は、一方で雑貨屋の娘に対する嫉妬心に苛まれている。無関心を装う「僕」は、その悪意を押し隠すためにブラフマンを愛したのだろうか?が結局「僕」は嫉妬心を抑える事が出来ない。ブラフマンは、雑貨屋の娘にそれ以上言ってはいけません、と「僕」に教えるために車の前に飛び出したような気がした。美しくて悲しい。泉鏡花文学賞受賞。04/07/14★★★★