わたしが棄てた女 (講談社文庫)遠藤周作「わたしが・棄てた・女」追加しました。二十代のうちに読んでおけば、私ももっとマシな人間になっていたかな。それにつけても林真理子さんの書評は、ちょっと論点がずれていると思う。愛=恋愛と言う公式ばかりではないぞ、これは。まあ、含まれてはいるけど。何はともあれ、良い本を知る事ができたので感謝。次は岡本かの子老妓抄 (新潮文庫)」。読む気満々。図書館には全集しかなかった。重そうだったので、次の機会にすることにしました。自制心が効いていて○。

書店のレヴュー

女を棄てた男(吉岡努)の手記と、棄てられた女(森田ミツ)の話、双方からストーリーが進んでいく。性欲の捌け口としてミツを利用し、棄てた努は、人生の成功のために画策ばかりする日々を送り、エゴにまみれている。一方、棄てられたお人好しのミツは、ハンセン病と診断され隔離病院へ行く事になる。◆あらすじだけ追えばひどい男の話ではあるけれど、主題は「愛徳の実践」ということになるのか。ミツを「愚鈍で容姿も悪くお人好しの女」としか見ていなかった努は、ミツが死んだ後にになって、ミツが人として高い位置にいた事を理解し、「人生の手がかり」を見出す事ができた。とにかく悲しい結末を通して自分の人間性の低さを実感するばかりだ。04/10/22