ららら科学の子

学生運動が盛んな頃に「文化大革命をその目で見てみませんか」の言葉に乗せられ、殺人未遂で指名手配を受けていた主人公の「彼」は中国に密航、上海で紅衛兵と交流を持つつもりが上山下郷のために南方の山奥の農村に送られ、その後30年間そこで過ごす羽目に。出稼ぎで広州に行ったまま妻が戻らなくなった事をきっかけに、蛇頭の船で帰国するところから始まる。
この本は、全共闘世代の方、もしくは文化大革命に興味のある方でなければ読むのは辛いかもしれない。私は、「彼」の年の離れた妹と何とかかろうじて同世代になるので未だ耐えられましたが。ケストナーの「点子ちゃんとアントン」やカート・ボネガット・ジュニアの「猫のゆりかご」が効果的な使われ方をしている。アトムはちょっとだけ。考えてみれば原作もTV版も良く見ていなかったのでわからない。
30年を経て浦島太郎状態の主人公が失われたときを徐々に取り戻し理解し、、すっかり大人になり作家として活躍している妹と話し、亡くなっていた両親の事を思い、広州にいる妻のことを考え、最後に自分を取り戻す決意をして中国に戻っていく。
・・・とまあこんなお話しですが、思いがけず面白かった。
本の内容を忘れぬように、ここに記しておこうと思ったの。