パイの物語

パイの物語

2002年ブッカー賞。まるで講談社ミステリーランドのような装丁ですが、お子様には厳しい。227日にわたる少年とベンガルトラの漂流記。
第1部のインド系の名前と、宗教の観念的な説明が辛かった。第2部が一番長くて、厳しい漂流生活の記録。結構グロかったけどガンガン読めました。で、最後の短い第3部で「ええええェ―――!!!」何が本当で、何が創作なんですか?どう解釈すればいいんですか。・・・といった感じ。
シックス・センス」の監督が映画化するそうです。漂流記はともかく、最後の「ええええェ―――!!!」の部分が映像になるんだったら、私は見なくてもいいや。
最後の章に、日本人が出てくるんだけど、事なかれ主義丸出しでちょっと恥ずかしいです。日本人ってこんな風に見られてんのね。

書店のレヴュー

インドの少年パイの乗っていた貨物船が沈没し、彼と4頭の動物だけが救助ボートに乗りこむことが出来た。そのサバイバル漂流記が軸となっている。が、作者の見事な技巧が読者を真実と虚構の間を彷徨わせる。◆三部立てになっている本作品。第一部は少年パイの生い立ちと宗教観の記述。動物園経営者の息子だったパイが、ヒンドゥーイスラムキリスト教の3つを信仰し、豊富な動物の知識とサバイバルを生き抜く精神の所以の説明となっている。ここで既に彼が無事救助され幸せな家庭を築いていることが明かされ、ハッピーエンドが約束される。第二部は227日に及ぶメインのサバイバル漂流記。パイと同乗者である3歳のベンガルトラとの駆け引きが、息もつかせぬ緊迫感で描かれる。第三部が救出された彼と、日本の外交官の面談記録。ここでもう一つの物語が語られる。◆壮絶な航海を生き抜いた喜びに浸っていた読者は、一転して謎の世界へと放り込まれた気持ちになるだろう。それ程この結末は衝撃的である。06/01/26★★★★