虹とクロエの物語

虹とクロエの物語

主なストーリーはわかりやすいんだけれど、なんだかわからないところも多い。
ユウジ君は吸血鬼の最後の生き残りらしく、お母さんから忌まわしい血の根絶の為といわれ、孤島に幽閉されているのです。
彼によれば無理矢理ではなく、自ら進んで、なのですが、その後彼が西を目指して出発して失敗保護されることに相成り、幽閉されたことや吸血鬼云々は事実だったのか虚言だったのか疑問に思ったりもしたけれど、ストーリー的には問題はそこにあらずです。結局ユウジの存在ってなんだったのだろう?
それにもまして不思議なのは、ユウジとクロエの子でクロエの中に20年間生まれずにいる胎児。この存在も謎。
若かったために見ないで済ませてきたことの象徴とか?今になって気づいて、そこを出発点とするのかな。
・・・
子どもの鑑になれるような完璧な大人なんて、そもそも存在するんだろうか。40になっても惑いっぱなしの私は、「こうありたい」とか思ったりすることもあまりなくて、虹子やクロエが嫌悪する「社会が認める大人」に近いんだろうけど、それでいいや、と思ってしまうのでした。

書店のレヴュー

虹子とクロエ(黒衣)は小学5年生からの親友。他の同級生からは浮き気味の2人は、2人でいることで完結していた。周囲の人々と迎合せず、自分たちはあくまで自分たちであり続けようとしていた。その関係もいつしか壊れ、逢うこともなく20年。今の生活に行き詰まりを感じていた2人は、高校の同窓会をきっかけに再会を果たした。◆登場人物は虹子とクロエ、クロエの中に20年留まっている胎児とその父親で吸血鬼の生き残りであるユウジ。◆40にして惑わず、とは言うものの、人間はいつまで経っても満足しないのではないだろうか。この後2人はどうなったのだろう。06/02/20
★★★