長嶋有他「東京19歳の物語」。

東京19歳の物語

東京19歳の物語

Gag Bank」という雑誌に連載されていたものらしいが、長嶋有だけ書き下ろしで巻頭。その他は、柴崎友香・沙籐一樹・篠原一・山崎マキコ千木良悠子・英田大輔・川西蘭・TATSUYA・狗飼恭子の9人の方々。
目次に、飛び出す絵本のような仕掛けがあって、東京高層ビル街が「ポコン」と立ち上がってくる。中身は、一人15ページで横書き。行間が大きくって、内容は短い。主人公はみんな19歳、舞台は東京。
長嶋有以外は未読の方ばかりだったけど、それぞれ作品に個性があって面白かった。


長嶋有「山根と六郎」
二人で、コンビニでお湯を入れてもらったカップ麺を食う話。初めてのカップ麺立ち食い。お椀型より、縦長の方が良いそうです。
内容は、主に二人の会話。
語り手のロクロー君、ただなんとなく大学に行っているけど、それじゃ何か違う気がする。将来がどうとかじゃなく、今、この瞬間に高揚するものがあったらいいな〜と漠然と思ったりしているような、そうでないような。そんなお話。


あと印象に残ったのは、、、
柴崎友香「天気予報によると」。
26歳で、一緒に暮らしていた男に出て行かれて、人が休みのときに働いて、、、そんな友達のお姉さんの気持ちを、ふと考える男の子の話。19歳男には26歳女の心情は、なかなか理解できないだろうな〜。
山崎マキコ八溝山系、街へ行く」
田舎に暮らす男の子が、出会い系サイトで知り合った女と会うために上京する話。東京の怖さを思い知りあがれ!の爆笑物。

書店のレヴュー

「東京」「19歳」をテーマに、作家10人による競演。◆長嶋有柴崎友香・沙籐一樹・篠原一・山崎マキコ千木良悠子・英田大輔・川西蘭・TATSUYA・狗飼恭子。◆高校を出たばかり、20歳まであともう少し。気分はすっかり大人でも社会の厳しさや人間関係の微妙さに、初めて触れてはドキドキしたり落ち込んだり。そんな19歳のいろいろなシーン。この本の登場人物たちの中に、「もう一人の自分」、見つけられるかも。06/05/18★★★