ユベール・マンガレリ「おわりの雪」。
- 作者: ユベール・マンガレリ,田久保麻理
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2004/12/10
- メディア: 単行本
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感動した、というのとは違う、何か。生きるのって辛いな・・・。
ちょこっとだけあらすじを書いておく。思いっきりネタばれですが。
主人公の少年は、露天で売られている鳥かごに入ったとびがどうしても欲しくって、毎日仕事帰りに店によって眺めていたのですが、寒さが厳しくなってきて、かごに入れられたままの鳶が心配で心配で・・・で、お金のために、生まれたばっかりの子猫を処分する仕事を請け負ってしまうのです。
とびを救うために、子猫を殺してしまうこと。
仕事先の養老院でみる「老い」と亡くなっていく老人のこと。
ようやく手に入れたとびが生肉を食べつくす横で、死に行く父。
そんなあれこれを経験して、生と死はいつも身近にあることに少年は気付いてしまう。
読後感が何ともやりきれないのです。
書店のレヴュー
とびを買いたいと思ったのは、雪がたくさんふった年のことだ。そう、ぼくは、その鳥がどうしてもほしかった。◆少年が記憶する生と死のお話。少年の父親は病床の床に臥せっており、暮らしは貧しく、父の年金と少年のわずかな稼ぎのみ。少年は養老院でお年寄りの散歩の付き添いしてお礼を貰っている。母は、深夜になるとこっそり外出している・・・とびがどうしても欲しい少年は、ある日子猫の処分に困った養老院の職員に頼まれ、そのことに加担してしまう。◆老人たちと中庭を散歩する少年、父にとびの話を聞かせる少年、犬と雪の中を歩く少年。全てのことが少ない描写なのに、ありありとその風景が思い浮かべられるほど、強く印象付けられてしまった。この話には多くの生と死が存在し、それは互いにごく近くに寄り添っている。そのことを体験し気付き記憶することが、少年が大人になっていく過程なのだろう。06/06/14 ★★★★★