沢木耕太郎「凍」。

凍

山登りったって、その辺の山じゃないもの。ヒマラヤだよ。雪と氷と岩の世界だよ。
しかもこの夫婦は、最小限の装備で、たった二人だけで登るのだ。
まさに「隊」って感じの登山のドキュメントをTVで観た事があったけど、ああいうのとは全然違う。
こんなことをしようと考えること自体、もう私とは全然違う人たちなんだな〜と思ってしまう。普通はさ、万が一の場合も絶対大丈夫と自信を持っていえるほどの万全を期していくもんじゃない?それをさ〜トランシーバーも持たないし、気象予想も聞かないし。そういうのを美しくない、と感じてるんだな〜この夫婦は。


と、私とは全く違う価値観の夫婦が挑んだ山登りの記録です。沢木さんの文章が上手で、まるでフィクションのよう。下山の際の緊迫した場面も、沈着冷静な二人の態度が、潔すぎるよ。きっとそういう人たちなんだろうね。
なかなか、良い話ではありましたが、私には到底理解不能なので、なんだか、イマイチ煮え切らないんだな〜これが。ま、世の中には、こんな人たちがいてもいいっか。
あ、妙子さんが布団を手作りしていて、それを見た山野井さんの親が感動した、という場面が印象的でした。嫁とはこうあるべきなのか?・・・それは別にしても、妙子さんは、すごい人です。今もお元気ですか。

書店のレヴュー

世界でもトップクラスの登山家山野井夫妻が挑んだ高峰の登攀記録。◆命の危険を感じながら、なぜ山に登るのだろう。夫妻がこの本で登った山は、8千メートルにわずかに足りないギャチュンカンというヒマラヤの高峰だ。それまでに登頂に成功したのは、わずかにスロヴェニア隊のみ。夫妻はそれを、無酸素のアルパイン・スタイル(少人数又は単独)で登るのである。記録や名声には無頓着な二人は、あくまでも二人の美意識に基づいた登山を決行した。◆こういった山の話というのは、大体のストーリーははじめから見えていて、当然、危機の連続だ。凍傷で指を失いながらも、かろうじて無事下山。そして、再び、山を目指すのである。06/07/20★★★